ちいさなけもののものがたり

まだ彼女が牙も爪も隠す、ただ小さいだけの獣だった頃の話。

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小さな獣が居た。

彼女は何に対しても無害である事が自分の美徳であるとして生きてきた。
それは美徳だと認識すると同時に彼女の処世術でもあった。
生まれつき持っている牙も爪も出さないよう心がけ。むしろ、なかった物として扱って。

彼女は何に対しても無害である事を努めて生きる、小さな獣だった。

それなりに長い時間をそうやって生きてきた。
それなりに長い時間を無難に生きてきた。

けれどもある日、彼女は気づく。
そうして無難に過ごして来れた理由に。

彼女は、牙と爪を隠す事を、やめた。

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